2010年11月19日金曜日

赤目自然農塾 Part7

みなさんこんにちは!めっきり寒くなってきましたね。農業に従事するようになってから、季節感には前よりも敏感に感じるようになりましたが、こんなに突然の気温差は稀のように思います。体がどうにかなっちゃいそうですね。そういう私も出発直前に激しい頭痛に襲われ、今回辞退しようかとも思いましたが、市販の頭痛薬を飲んだら一発で治りました。以外と捨てたもんじゃないですね。みなさん、風邪など引かぬようお気をつけ下さい。

夜行バスから降りたとたんに寒い!何だこの寒さは?西の方が暖かいかと思っていたら、それは大きな間違いでした。身震いが収まったのは電車に乗って漸く経ってから。今回の共同作業は仮設テントの組み立てと、先月に引き続きトタン塀の点検と修復。またイノシシ?と思いましたが、もう慣れました。イノシシもこの敷地に美味しいごちそうがあるのを知っていますので、無理もありません。その気持ちは分かります。向こうも必死ですから、トタンぐらい平気でぶち破ります。事実、いくつか侵入した痕跡が見つかりました。塾生も落胆し、笑いしか出てきません。そんな塾生から、不思議と野菜には手を出していないとの情報を得ましたが、期待するとショックが大きいのでサラッと聞き流していました。
天気は曇り模様。紅葉は若干色づき始めており、
これからといったところでしょうか。
田んぼも所々で草刈りが行われていました。
共同作業のテントの組み立て。先月、川口さんの畑に持って行った為、
バラバラになったテントを皆さんで組み立てました。
大人数でやるとあっという間に組み上がります。
先月、学びの時間に川口さんが実演していただいた稲架かけ。
見事にイノシシに食い荒らされています。
黄色い糸で鳥除けを施してありますが、鳥も驚いたんじゃないでしょうか。
今回はこの稲を使って、脱穀の実習を行う予定でした
もう一つの稲架かけ。こちらは比較的荒らされてないですが、
よく見ると食べられています。写真左奥の塾生の稲架かけもひどい事になってました。
皆さんガッカリしておられました。
お借りしている畑へ。
こんな状態だと荒らされているのかいないのかよく分かりません。
けど、先月、先々月蒔いた葉もの類はどこにも見当たりません。
フダンソウを蒔いたはずの畝。
よく見ると長靴のような物でドカドカ踏み荒らしたような跡が。
どこが畝なのか良く分かりませんでした。
そんな中、フダンソウらしきものを発見!
散々蒔いてこの1株のみ生き残っていました。
これだけ食べ忘れたのでしょう。新芽は大好物のようです。
なんとか大根は無事でした。このぐらいに大きくなると食べないのでしょうか?
それか本当に野菜にはそんなに興味が無いのか?
この大根はカブのように丸い大根で、おそらく聖護院大根ではないかと思うのですが、
それにしては小さいかも。でも美味!
人参も無事。こちらは特に問題なく、すくすくと育っているようです。
実はまだまだという感じでしたが。
今回一番うれしかったのは、このニラの種取りでした。
先月咲いた花たちは見事に種へと育ちました。
種は大事に採種して、来年の種蒔きに備えたいと思います。
また、このニラも美味!
話を聞いてみると、どうやらお米中心に狙って食べている様子で、殆どの塾生が被害に遭っていました。自分もめげずに取り敢えず整地しようと作業をしていると、気がついたら17時を回り、辺りは急速に暗闇へと突入しました。夏の感覚で作業するとえらい目に合います。特にここは山の中で、電気も無く、通路もデコボコしており危険なので早急に下山へ。今回はホテルだったので、山荘の学びは参加出来ませんでした。残念。

翌日も寒さで目が覚めました。外を見ると路面が濡れており、早朝に雨が降った様子。そのせいか一段と寒さが増したかと思ったら、宿の女将が今朝はいくらか暖かいと言っておりました。三重ってこんなに寒いとは…。
いざ塾に着いて、脱穀の学びはどうするのかと思ったら、スタッフの方が自分の田んぼの稲を持参しており、それを使って予定通り行うとのこと。いつもよりも多い見学者が見守る中、着々と脱穀の用意が進みます。
これは以前何かで見た事のある足踏み脱穀機。
赤目塾では8台ほど所有しており、
修理、改良を加えながら現役で使用しているとのこと。
手前は小麦の脱穀でおなじみの唐箕登場。
ホント優れものですよね、この道具。
奥の脱穀機には白い布を覆って、籾が飛び散らないよう工夫がなされています。
いよいよ脱穀スタート。二人掛かりでテンポよく踏んで行きます。
針金を曲げたものが沢山付いた円柱状のものを回して、稲茎から籾をはずして行きます。
踏み方を間違えると、この円柱が逆回転し、
その時慌てて止めようとして手を入れる事故が多いそうです。
脱穀した籾にはワラも沢山混じっているので、
大きなふるいを使って「もみどおし」なる作業を行います。
こうして籾と小さい藁くずだけにします。
最後に唐箕の出番。ここで小さい藁くずを飛ばし、籾のみにします。
この唐箕、もちろん稲、麦だけでなく、大豆などの豆類にも活用出来ます。
穂首が切れてうまく脱穀出来なかったものは、
こうして木槌で叩いて脱穀する方法もあります。
こちらは大変そうですが…。
脱穀機がうまく使えないとこの作業をすることになるそうです。
こちらが唐箕後の籾。きれいにワラが取り除かれています。
この段階で、来年用の種籾を選別して保管しておきます。
この後、籾摺り機にかけて玄米にします。
変わって、ここはお米を作った後の田んぼに麦蒔き。
草を根から刈るようにした後に、満遍なく降ろしていきます。
この後、枯れ草を被せてるのですが、割と厚めに被せてました。
理由は鳥対策だそうです。
お次は玉葱の定植。先に畝全体の草を刈った後に、
草を被せて株間15cm間隔に植えていきます。このやり方は結構便利ですね。
お米の脱穀の過程は、以前の小麦の脱穀とほぼ同様でした。ただ、この後がお米の場合だと籾摺りしないといけないので、そこが小麦と違って面倒かもしれません。ところで学びの時間も気がついたら3時間にもなり、皆さんお腹が空いたので昼食に。いつもの畑野菜の学びは午後から行われることになりました。
変わって畑に移動。これはおそらく万願寺とうがらし。
当菜園でも育成中ですが、この大きさの差にショックを受けました。
ブロッコリーも小さいながらも順調に育成しておりました。
青虫が葉に付いて食害しておりましたが、川口さんは青虫を潰してました!
虫を敵としない自然農ですが、
自分の生きる糧を守る為の殺生とのことでした。…なるほど。
こちらは大納言小豆。見事にイノシシに踏み荒らされています。
豆も大好きのようです。いくつか残っている莢を取って2〜3日乾燥させます。
実習用に購入したキャベツの苗。30cm程の間隔で苗を植えていきます。
大きくなったときのことを想定しての間隔です。
9月に蒔いた玉葱の苗がこんなに大きく!当菜園のと比べると段違いです。
ただ、どんなに小さくても、この時期に移植をしなければいけないとのことでした。
ニガウリを育てたときに拵えた支柱をそのまま利用した、エンドウ豆の種降ろし。
こうして手間を省く知恵はとても勉強になります。
エンドウ豆もつるありの方が沢山実をつけるとのこと。
1カ所に5粒も降ろしてました。
最後に、塾に向かう途中の畑で、大豆の稲架かけを何度か見かけたことを川口さんに聞くと、大豆以外にも小豆などの豆類や芋やソバなどの穀類も有効だとか。早速、当菜園でも試してみたいと思います。

今回、ちょっと気になったのが、虫を殺すということ。私も自然農に関わってまだ間もないのですが、いつの間にか虫を殺すのに抵抗を感じていました。先月の自然農のシンポジウムでも、クマやイノシシを殺せるか?という質問があり、既に10年以上実践されている方々は「相手が子供や家族を守る為に命をかけるのと同様に、自分も大切な家族を守る為に、その糧であるものを確保するために命をかけて守る」といって「殺す」とおっしゃっておりました。

自然農の本を読んでみると、確かにこの自然界、生命界は殺し殺されての関係であり、我々人間もその宿命から逃れられないと説いています。ただその中でも人間は貪る性があり、必要以上に多くの生命を損ねるとも説いています。その意見には賛成です。しかしながら、自然農を営む上で、食害する動物達との共生する方法は皆無なのか?作物を食害しないように草を刈りすぎない、といった知恵の絞り方は出来ないのだろうか?

クマが居住区に出没するようになったのも人間が長い間里山の環境を破壊してきたのが原因とも言われています。現在ではその里山の再生について様々なところで見直されてきています。そのような解決方法は見い出せないのだろうか?こんなことを言っているのはキレイ事にすぎないのだろうか?などと、深く考えてしまった今回の学びでした。
お借りした畑に、試しに小麦を蒔いてみました。またメチャクチャにされるかもしれませんが、めげずに頑張りたいと思います。

タカシ 

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